2010年9月22日水曜日

ブルーベリー・ヒル/ファッツ・ドミノ



ブルーベリー・ヒル/ファッツ・ドミノ

ファッツ・ドミノ(Fats Domino, )本名 アントワーヌ・ドミニク・ドミノ、1928年2月26日 -, ルイジアナ州ニューオーリンズ生まれ)は、ロックンロール黎明期1950年代後半から1960年代初期のアメリカで最も売れた黒人歌手のひとりであり、記憶に残る代表的なニューオーリンズR&Bミュージシャンだ。

しかし、ファッツ・ドミノの場合、その功績からしても、畏敬の念を持って、ロックンローラーと呼ぶのが妥当だろう。

ファッツ・ドミノは作曲家でありブルース調のピアニストでもあり、ストライド奏法とブギウギの影響を受けた独自のスタイルが好評で白人からも支持された。愛すべき太っちょの巨体、愛嬌のある笑顔、軽やかに鍵盤を叩く指先、甘く親しげな高めのバリトンの声、揺れる巨体とブグウギのリズム、そのどれもが愛情に満ちた印象になって、ロックンロールのよき時代を伝えている。
特筆すべきは彼こそがニューオーリンズ独特のサウンドを持ち味にしていたことであり、ニューオーリンズの歴史と文化の伝道者であったことだ。

1949年、インペリアル・レコードより"Detroit City Blues"でデビュー。B面に収録された"The Fat Man"がR&Bチャート2位の大ヒットを記録する。インペリアルには1963年まで在籍し、デイヴ・バーソロミューのプロデュースと共作のもと、数多くのヒットを世に送り出し、1986年にはロックの殿堂入りしている。

ファッツ・ドミノの成功を語るときに、忘れてはいけない人物がいる。ファッツ・ドミノがインペリアル・レコードと契約した時、もうひとり契約した人物がいる。トランペット奏者であり、ソングライターであり、バンドリーダーであり、プロデューサーでもあったデイヴ・バーソロミュー (Dave Bartholomew)である。

彼こそが最初のヒット"The Fat Man"以来、ファッツ・ドミノを陰で支えた功労者であり、ロックンロールへ多大な貢献をした。ロイド・プライスの"Lawdy Miss Clawdy"、スマイリー・ルイスの"I Hear You Knocking"、"One Night"、シャーリー&リーの"Let the Good Times Roll"など歴史に残るヒット曲のプロデュースを手がけている。デイヴ・バーソロミューもまたロックの殿堂入りを果たしている。



ファッツ・ドミノの代表曲には、エルヴィス・プレスリーがカバーした"Blueberry Hill"をはじめ"Ain't That a Shame"、"Walking To New Orleans"、"I'm Walkin'"、"Blue Monday"など多数あり、ミリオンセラーになったのは実に23曲に及ぶ。この記録はエルヴィス、ビートルズに次ぐ大記録である

1963年にABCレコードへ移籍したが、ポピュラー音楽のサウンド変遷後、突然起こったブリテイッシュサウンドブームに押されて、インペリアル時代に匹敵するヒットは出なかった。

ニューオーリンズに自宅を構えていたが、2005年のハリケーン・カトリーナで浸水。一時は行方不明になり、話題を集めたが、無事救出されオールドファンをホッとさせた。その後、カトリーナの前にレコーディングした新作「Alive & Kickin'」をリリースしている。

同年春のニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテッジ・フェスティバル最終日のトリを務める予定だったが、体調不良からキャンセルしたものの、会場ステージに登場して観客に謝罪した。